検証!1999年の巨人

1999年のシーズンも終わりました。
ここではデータなどを元に、今年の巨人を振り返ってみたいと思います。

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スピード&チャージは死語に・・・

 巨人のチームのキャッチフレーズに「スピード&チャージ」があります。しかしながら、今年の巨人の戦いぶりから、それを感じることはできませんでした。

 毎年、キャンプ中には、「今年は足を使った攻撃をしたいですね」というような発言を聞くことが出来ます。最近も、新聞には「二岡、来季は30盗塁」なんて記事が載ってました。秋季キャンプ中の、原コーチのコメントです。が、同じような事を去年の仁志選手にも言ってましたね・・・。

 さて、今年はどうだったのか、数字を見てみましょう。

ヤクルト 80 西武 136
中日 78 ダイエー 80
広島 76 近鉄 73
横浜 74 オリックス 69
阪神 63 日本ハム 67
巨人 51 ロッテ 64


 予想通り、セリーグはおろか、12球団最低の数字でした。ここで注目してほしいのは、阪神の「63」という数字。去年阪神は、「28」という盗塁数でダントツで最下位でした。しかし、今年は一気に二倍以上の数字になりました。野村監督の加入でチームに走る意識が出来たことが、よくわかります。

 また、セリーグトップはヤクルトですが、今シーズン、盗塁王候補の飯田選手は故障のため、フル出場出来ませんでした。にも関わらずこの数字・・・。その内訳をみると、飯田、宮本が11、ペタジーニ、古田、佐藤が10、真中8、岩村7・・などといった所です。 巨人入りした江藤選手も9盗塁してますし、盗塁は足の速さだけではない、ということがよくわかる数字です。

 それでは、巨人の選手がどうだったかを見てみましょう。
 
  盗塁数 盗塁死 成功率
仁志敏久 18 8 69.2%
清水隆行 15 5 75.0%
二岡智宏 8 2 80.0%
後藤孝志 3 1 75.0%
高橋由伸 3 3 50.0%
川中基嗣 2 1 66.7%
斉藤宜之 1 0 100%
マルティネス 1 0 100%
参考(他球団の主な選手の記録)
李鐘範(D) 24 7 77.2%
関川浩一(D) 20 11 65.5%
石井琢郎(YB) 39 11 78.0%
波留敏夫(YB) 21 5 80.8%
飯田哲也(S) 11 0 100%
緒方孝市(C) 18 12 60.0%
田中秀太(T) 15 4 78.9%


 やはり他球団の選手と比べると、見劣りしてしまう結果となっています。仁志選手は、盗塁数だけでなく、成功率も高めてほしいものです。清水選手は、何かと制約の多い2番、また代打、代走要員と、落ち着かない選手起用をされた事を考えると、まずまずと言った所でしょう。

 さて、ここで問題になってくるのが、高橋選手の盗塁3という数字。その走力からすれば、この数字はちと寂しいものがあります。5番という打順を考慮しても、ちょっと少ないですね。4番の清原選手で攻撃が途切れ、回の先頭や、二死無走者の場面で、出塁する機会も多く、決して走るような場面が少なかったというわけではありませんから。

  単なる数字の比較ですが、ペタジーニ、江藤、ゴメス、桧山、古田といった選手より盗塁数が少ないというのは、ちと問題です。これは、走る意識があるかないかの違いということですね。つまり、高橋選手の問題というよりは、チームとしての問題であるという事がわかります。

 毎年オープン戦には、選手の自主性に任して試合をしているせいか、積極的な走塁、盗塁が見られ、期待出来るような感じなのですが、シーズンに突入すると、いつもの各駅停車の攻撃になってしまいます。ヒット3本打っても点が入らない事もありました・・・。


投手陣が1999年V逸の最大の原因と言われてるが・・・

 今季、スタートダッシュに失敗したのは、前半の中継ぎ陣をはじめとする、投手陣の崩壊が原因でした。さて、実際どうだったか、見てみましょう。まずは、各チームの投手成績から。

  防御率 起用人数 完投 勝利 敗戦 セーブ
中日 3.39 470 18 81 54 36
巨人 3.84 509 21 75 60 31
阪神 4.04 541 5 55 80 23
ヤクルト 4.23 445 15 66 69 34
横浜 4.44 440 15 71 64 31
広島 4.78 457 26 57 78 24


 ボロクソ言われてていた割には、終わってみればリーグ2位の成績でした 。といっても、防御率3.84という数字は、いい成績とは言えませんが。上原投手がいなかった場合の防御率は、4.51まで悪化してしまいます。なお、先発完投が伝統であった巨人ですが、投手起用人数はリーグ2位の509。巨人にも、分業化の波が押し寄せてきているようです。完投21という数字も、そのうちの12は上原投手のものです。

名前











四球
(故意)









上原 浩治 25 12 20 4 0 .833 197+2/3 153 12 24(3) 179 3 0 49 46 2.09
ガルベス 27 7 9 12 0 .429 187 174 19 51(4) 106 1 1 85 76 3.66
桑田 真澄 32 2 8 9 5 .471 141+2/3 137 17 57(2) 100 6 1 69 64 4.07
平松 一宏 1 0 0 0 0 .000 2 2 0 0(0) 4 0 0 0 0 0.00
野村 貴仁 15 0 2 0 0 1.000 13+2/3 9 1 4(0) 16 1 0 2 2 1.32
槙原 寛己 45 0 4 3 23 .571 41+1/3 40 4 11(3) 55 4 1 14 13 2.83
岡島 秀樹 37 0 4 1 0 .800 69+2/3 42 6 28(1) 77 3 0 25 23 2.97
岡田 展和 15 0 0 1 0 .000 14+1/3 13 1 5(0) 12 0 1 8 6 3.77
木村 龍治 53 0 5 2 2 .714 59+2/3 56 6 19(2) 31 3 2 26 25 3.77
デセンス 8 0 0 1 0 .000 16+1/3 24 2 4(0) 6 1 0 11 7 3.86
三沢 興一 36 0 5 3 0 .625 79+1/3 79 10 20(1) 56 2 0 37 35 3.97
入来 智 22 0 2 1 0 .667 21+2/3 24 3 17(1) 23 1 0 10 10 4.15
入来 祐作 31 0 1 6 0 .143 79+2/3 97 16 32(4) 57 2 0 42 40 4.52
斎藤 雅樹 17 0 5 2 0 .714 83 89 10 31(0) 45 1 0 44 43 4.66
河原 純一 8 0 2 2 0 .500 29+2/3 36 6 5(0) 25 1 0 17 16 4.85
柏田 貴史 52 0 0 1 0 .000 32+1/3 26 5 14(1) 23 1 0 18 18 5.01
ホセ 12 0 2 3 0 .400 47+1/3 43 5 23(3) 25 0 0 29 28 5.32
西山 一宇 30 0 3 4 0 .429 43+1/3 55 6 20(0) 29 2 0 27 27 5.61
小野 仁 2 0 0 1 0 .000 6+2/3 8 1 7(0) 5 1 0 8 5 6.75
南 真一郎 19 0 2 2 0 .500 18 26 4 8(1) 12 1 0 15 14 7.00
河野 博文 20 0 1 2 0 .333 15+2/3 19 3 9(0) 13 0 0 14 13 7.47
榎 康弘 2 0 0 0 1 .000 1+2/3 6 0 0(0) 0 0 0 3 3 16.20


見ていただければわかるように、上原投手が孤軍奮闘しているのが良くわかります。また成長が見られたのは岡島投手。それが一番出ているのは、四球数です。昨年は、1イニングあたりの四球率は0.55と、ヤクルトの石井一久投手並の四球率だったのに対し、今年は0.40まで下がりました。ただ、西山投手の例もあるだけに、岡島投手の真価が問われるのは来年となるでしょう。

 また、斉藤、桑田投手らに衰えが見えている今、うまく世代交代していかなければなりません。入来祐作、河原、小野、チョ投手らの活躍を期待したい所です。巨人が勝つには、やはり先発完投のスタイルでないと難しいです。 また、左投手の強化が必要だと言うことも、この数字から分かります(それを工藤、メイ獲得で補うやり方には疑問がありますが)。


清原バッシングがすごかったが・・・

 「今年巨人が優勝出来なかったのはなぜ?」という問いに対し、清原選手の不振を挙げる人が多い。チャンスに併殺打、三振を繰り返し、ことごとくファンの期待を裏切ったから・・というのがその理由らしい。

 しかし、データを見ると、そこまでボロクソ言われるほど、チャンスに弱かったわけではないのです。意外かもしれないが、得点圏打率は、松井選手よりも上なのです。また、勝利打点もチームトップなのです。打率.236、打点46、HR13という数字こそあれど、どうしてチャンスに弱いというイメージが、我々に植え付けられているのでしょうか?

 それは、走者を一塁においての場面での、併殺打が多いからでしょう。清原選手の併殺打は12と、試合数が少ないにも関わらず、マルちゃんと並んでチームトップの数字です。これが印象を悪くしているのでしょう。

 また、今季の清原選手を状態を裏付けるデータが、敬遠数です。

高橋由伸 7
石井浩郎 4
松井秀喜 3
マルティネス 1
元木大介 1
後藤孝志 1
川相昌弘 1
村田善則 1
村田真一 1
光山英和 1
清原和博 0


 見ての通り、清原選手に対しての敬遠はゼロでした。セリーグの4番打者で、敬遠ゼロは、清原選手だけでした。相手バッテリーが、 いかに清原選手を恐れていないか、また後ろの高橋選手を怖がっているかが、よくわかる数字であるといえます。

 また、清原選手への死球数は10と、フル出場してないにも関わらず、セリーグトップでした。 いかに相手バッテリーが、弱点とされる、内角を攻めているかがよくわかる数字です。余談ですが、巨人の場合、捕手陣への敬遠数が少ないですね。巨人の投手のバッティングが優れているということを、物語っています。

 それから、清原選手を批判する者の多くは「巨人に来てから打てなくなった」「清原をクビにすれば優勝できた」といいます。果たして本当にそうでしょうか?以下の表を見てください。


 

 

 

 

 

 









 

 

 

 




 




 
'94 西武 129 455 78 127 29 0 26 93 5 0 5 105 117 12 .279
'95 118 404 63 99 13 3 25 64 2 0 2 99 111 6 .245
'96 130 487 67 125 30 0 31 84 0 0 0 76 122 14 .257
'97 巨人 130 462 65 115 24 0 32 95 0 0 7 81 152 7 .249
'98 116 384 67 103 14 0 23 80 1 0 11 75 76 13 .268
'99 86 263 39 62 12 0 13 46 0 0 4 56 68 12 .236


 どうでしょう?今シーズンこそ、不調の所に故障が重なり、過去最低の数字でしたが、今年のように叩かれた1年目、2年目ともに、V逸の責任を一人で負わされるような、ひどい成績ではないという事が分かります。こういう人たちは、西武時代の清原を知らない人か、清原選手に毎年、3割40本を望む人達なんでしょう。

  また、西武時代と比べ大きく成績が落ちているわけではないです。むしろ、機動力で得点できた西武野球、機動力で得点できない巨人野球を考えると、打点など、評価できる部分もあると思います。

 もちろん、今年は清原選手の成績が、V逸の要因の1つではありますが、捕手、采配、抑え、一発でしか得点できない等、長年言われ続けている問題を差し置いて、清原選手一人に責任を押しつけるような風潮に、疑問を感じます。

 さて、清原選手に対していろいろ言ってきましたが、一番辛く、悔しい思いをしているのは本人だと思います。この悔しさをバネに、来季は、ボロクソ言ってきた人たちに対して「ザマーミロ!」と言えるような活躍をしてほしいものです。

5点打線と言われた打線は?

4番打者ばかりを集めた巨人軍。シーズン前は、超強力打線と言われてました。さてその実体はどうだったのでしょうか?打撃成績を見てみましょう。

名前













四球
(故意)










高橋 由伸 118 454 143 18 2 34 98 3 2 2 39(7) 8 96 3 2 .315 .588 .378
松井 秀喜 135 471 143 24 2 42 95 0 0 6 93(3) 2 99 3 1 .304 .631 .416
仁志 敏久 127 510 152 28 4 9 42 18 9 2 39(0) 0 72 6 8 .298 .422 .347
清水 隆行 116 424 125 23 1 8 32 15 11 2 24(0) 4 49 7 1 .295 .410 .337
二岡 智宏 126 418 121 14 0 18 51 8 6 3 33(0) 2 92 7 9 .289 .452 .342
マルティネス 83 262 85 14 0 16 56 1 0 2 24(1) 3 55 12 0 .324 .561 .385
川相 昌弘 82 149 44 1 0 0 14 0 19 0 17(1) 1 12 3 3 .295 .302 .371
斉藤 宜之 40 32 9 3 0 0 3 1 2 0 1(0) 0 3 0 1 .281 .375 .303
後藤 孝志 112 198 54 7 0 7 16 3 7 1 9(1) 2 27 1 5 .273 .414 .310
永池 們多 22 22 6 1 0 1 7 0 2 0 2(0) 0 4 0 0 .273 .455 .333
川中 基嗣 46 22 6 0 0 0 2 2 1 0 1(0) 1 5 1 0 .273 .273 .333
石井 浩郎 91 186 48 6 0 11 32 0 0 3 31(4) 2 34 3 5 .258 .468 .365
村田 善則 41 55 13 1 0 1 4 0 0 0 2(0) 2 11 1 0 .236 .309 .288
清原 和博 86 263 62 12 0 13 46 0 0 4 46(0) 10 68 12 3 .236 .430 .365
元木 大介 114 327 75 12 0 6 34 0 8 1 36(1) 0 49 11 5 .229 .321 .305
村田 真一 91 237 49 5 0 9 28 0 7 5 24(1) 4 53 6 7 .207 .342 .285
杉山 直輝 29 76 14 0 0 2 9 0 1 0 7(1) 1 18 1 1 .184 .263 .262
小田 幸平 5 12 2 0 0 0 2 0 0 0 0(0) 0 2 0 0 .167 .167 .167
大野 倫 11 13 2 0 0 0 0 0 0 0 0(0) 0 5 2 0 .154 .154 .154
広澤 克実 16 14 2 0 0 1 1 0 0 0 2(0) 0 6 1 0 .143 .357 .250
光山 英和 38 61 7 1 0 0 0 0 1 0 5(1) 1 16 1 0 .115 .131 .194

 4番打者ばかりを集めているだけあって、本塁打数、長打率は他チームの追従を許しません。その反面、三振数は、ダントツのリーグトップで921という数字です。走れない(というよりは走らない)チームですから、一発でしか得点できない打線になるのも無理はありません。

 今シーズンは、雑な攻撃が目立ちました。特に無死ないし一死で、走者を三塁に置いた場面で、松井、清原(マルちゃん)、高橋選手らといった、主軸で得点ができない事が目立ちました。犠牲フライが打てないのです。そのため、1点を争うような試合では、もろさが目立ちました。

  面白いのは、下位打線からよく打線が繋る場面が、よく見られたことです。6番の後藤、7番の二岡選手辺りが出塁し、 捕手or投手が送りバント、仁志選手がそれを返すという場面がよくありました。また、投手が打つ場面もありました。そのいい例が、ガルベス投手の2本の満塁ホームランでした。これに対し、345番あたりは、打線が繋がりませんでしたね。


 個人の成績に目を向けてみると、意外なのが、高橋選手の三振96という数字。高橋選手は4月、打率.381と大爆発しましたが、その後は故障のせいか、ボールとバッドの距離がだいぶ離れてるような三振が、目立つようになりました。また、二岡選手の三振92というのも、ちと多いです。大砲は既に沢山いるだけに、二岡選手には、勝負強く、率の残せるような打者になってほしいと思います。いやらしい攻撃が出来るようになってほしいですね。

 仁志、清水選手の1,2番コンビですが、仁志選手は昨年よりも打率が上がり、巨人の切り込み隊長として定着してきました。ただ、もう少し出塁率をあげたいですね。横浜の石井琢郎選手は.382という数字です。また清水選手に注目すると、三振が少ないのが目につきます。きちっと進塁打を放つなど、つなぐ役目をしてました。ただ、レフトをマルちゃんにとって代わられる場面が目立ちましたね。実に残念です。